主任技術者と現場代理人

建設業者が日常的によく使用している業界用語にもかかわらず、じつは殆どの業者がその正確な職務や資格条件を理解していないという、業界法律用語の代表格が、主任技術者と現場代理人ではないでしょうか。

主任技術者というのは、建設業法26条により、工事施工における技術上の管理と指導監督をつかさどる者として、専任非専任に かかわらず、必ず工事現場に配置しておかなければならないと定められている技術者です。 中でも1件2千5百万円以上(建築は5千万円以上)で、公共性のある工事については、必ず専任で配置され、工事日には定められた工 事現場に常駐していなくてはなりません。

主任技術者として認められる者は、いわゆる建設業許可の専任技術者になれる有資格者で、1,2級施工管理技士、技術士、建築士、 電気工事士、技能士など、大臣や知事の認定した資格者と、経験年数の証明により専門工事の実務経験が10年以上あるか、又は指定 の専門学科を終了した後の3~5年間の実務経験が証明された者とがあります。


一方、現場代理人というのは、選任するかどうかは請負人(社長など請負業者の代表者)の判断で自由であり、法律で選任が義務付け られているものではありません。ただし、これを選任する場合には、業法19条の2で、現場代理人の氏名及び権限などを書面にして 注文者に通知しなくてはならないと定められています。

現場代理人になるための資格要件は法律上特に定められていません。これは請負人の責任で自由に人選できる職務です。 その権限について公共工事標準請負契約約款第10条では、「現場代理人は、工事現場に常駐し、その運営取締りを行うほか、 (請負額の変更、請負代金の請求及び受領、契約の解除に係わる権限等を除き)請負者の一切の権限を行使することができる。」 とされています。

実際の業務としては、施工体制台帳の作成、新規入場者の教育、労務管理、労働安全衛生管理、施設、車両、重機、機械、 危険物等の管理、工事現場近隣地域への対応などといった総務的業務全般を、請負人に代わって取り仕切る重要な立場です。 この職務の重要さをよく認識している会社では、工事を請負うたびに社長自ら現場代理人への辞令交付を行っているようです。 つまり現場代理人というのは、社長の代理として施工日には専任で特定の一工事現場に常駐し、工事全体の進行を取り仕切る者 という概念です。


現場代理人と主任技術者は同一人でも構いません。また、建設業許可上の専任技術者となっている者と、専任性が義務付けられる 場合の主任技術者は、別人であることが原則です。ですから、いわゆる一人親方など有資格技術者が一人しかいない業者は、 個人住宅の建築や5千万円未満の公共性の無い建築工事以外の、2千5百万円以上の工事を請け負うことは、建設業法違反となります から注意が必要です。

公共性のある工事とは、公共工事はもちろん、民間発注でも、道路、工場、病院、遊技場、アパート、事務所、倉庫など多数の人が 利用する施設の工事が該当します。